無口な彼の妬かせ方
違和感




「やっぱり、バイトするよ。



ごめんね、さっき断っちゃって」




放課後。



蓮くんの元へと来た私は、単刀直入に、そう言った。



途轍もなく驚いた表情をされたけれど、すぐに笑顔になって。




「じゃあ今日にでも行ってみよっか。



……あ。翔からの許しはもらった?」




チラッと、教室の隅にいる翔を見た蓮くん。



ニヤニヤと笑う蓮くんに、



なにやら私は、おちょくられてるかのよう。




「う、うん。ちゃんともらったよ。



いいって。」




"いい"っというか、"やれば?"みたいな感じだったけど……。



私も彼の方に視線を向ければ、




「っ、」




一瞬、こっちを見たけれど、パッと逸らされる。



それだけでも、なんだか胸が苦しくなった。

< 198 / 304 >

この作品をシェア

pagetop