無口な彼の妬かせ方
蓮side
仕事着から私服に着替えて、仕事場を出る。
ドアを開けた瞬間、一気に冷たい風が肌に触れて身震いをした。
寒いな…
ガサゴソとカバンの中に手を突っ込んで、マフラーを探す。
あ、そういやマフラー忘れてきたんだっけ。
ハッとそれを思い出して、
はーっとため息をついた。
最悪。こんな寒い日に。
早く家帰ろ。
そう考えて、手をポケットに入れて速めに歩き出したとき。
「ちょっと。」
ぐい。っと服を引っ張られて、
掴まれた方に振り向けば。
「遅い。」
「え?あれ。唯ちゃんじゃん」
マフラーで口元が隠れていて、俺よりかなり身長が低い唯ちゃんがいた。