無口な彼の妬かせ方





「…いないと分かって、すぐ帰ってきた。
じゃあ…俺の家の前に藍がいて。
……驚いたよ、すごく」



「あ…」




風邪引いてるって聞いて…




「…嬉しかった。あと、コレも」




ポケットから青色の手袋を出して、私に見せた。




使ってくれてたんだ…と、
嬉しくて自然と微笑む。




「……蓮に告白されたって聞いたときは…正直あまり驚きはしなかった。
蓮が藍に恋心を抱いていたのは、なんとなく分かってたし。」



「そう…なんだ…」



「……いつかは告白するだろうって思ってはいたけれど、
俺が不利な状況のときに告白したのを聞いて、それはすごく焦った。」




そういえばあの時って…




翔とうまいこといってなかった時だったもんね…




翔は私と向かい合うように座りなおした。




「…本当はバイトだって、してほしくなかった。
蓮と一緒だってことが余計に嫌で仕方がなかった。
………でも、俺が拒否する権利はない。
藍がやりたいと思ったことなら、俺は何も言わない。」




目線を逸らさずにジッと私を見る。




こんなに喋る翔は久々に見た。

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