私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!



人の形に似ていても、尖った耳や背中から伸びた輝く羽から彼女は人ではないと認識せられる。


「我が名はレヴィローラ。この大森林を守る大精霊である。それで……聖女の力を持つ者よ、人間を拒む我が森に何の用か」


開かれた口から発せられた声は鈴の音のように綺麗に響くのに、どこかしっかりとした芯を持ち合わせている。


初めて見る大精霊の姿に呆気に取られていた私だったけれど、真剣な眼差しで見つめられたお陰で我に帰る。


「お、お初にお目にかかります。アンゼリオ国の聖女、リゼ・マーキアスと申します。本日は力を貸していただきたく、この場に参りました」


震えそうになる声を何とか誤魔化しながら頭を下げる。


美しいと思うのに彼女から放たれる威圧感が計り知れないもので、言葉を放つだけでも息が止まりそうな勢いだった。


「我の力だと……?用件に寄っては即刻、森から立ち去ってもらう覚悟で話せ」


「はっはい!」


一度ごくりと乾いた口を潤す目的で唾を飲み込み、呼吸を整えてから簡潔にクリスタルの事を話す。


「私の力のコントロールが不十分で彼らを守った際に、クリスタルがこのように壊れてしまい……聖女としての証を失ってしまいました。この大森林に訪れれば、クリスタルを元に戻せると聞きここまでやってきました」


胸元からクリスタルを恐る恐る取り出して、見事に割れた断面が見えるように手のひらに乗せた。




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