私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!


宿屋の食堂に向かえば、村のおばさんが三人分の朝食を用意してくれ、美味しい温かい食事にありついていた私は、ふと窓の外に見えた小さな祠に目が止まる。


どうやら癒しの護符が貼り付けられているようで、微かに聖女が生み出す光を纏っていた。



「すみません、あの祠って……」


「ああ、あれかい?昔、聖女様がこの村にやって来てくれた時に、建てた祠だよ。現聖女様が結界を張り、祠に術式を宿してもらったお陰で私らは平凡に暮らせているのさ」



やっぱりそうだったかと、急いで朝食を口の中に流し込んでその祠の元へと急いだ。


村の片隅で見守るように佇む、この国の聖女が魔物からの襲撃を防ぐ為の結界の力を込めた祠からは強い魔力を感じる。


王都には大きな結界が張ってあるとは聞いていたけど、遠方の村や町には祠を使って結界を張っているなんて知らなかった。


よっぽどの力の持ち主なんだろうなあ……力を分配するだけでなく結界を維持し続けるなんて技、私には到底不可能だ。


祠に刻まれた文字と流れる光魔法を撫でると、微かな痛みと電流が走って私はすかさず手を引っ込めた。




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