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桜が舞う日


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桜が舞う日










「わ~!満開っ!!」






今日は蒼空さんが引っ越してしまう2日前。




旅行の帰り道に約束したあの事を、たった今実現中。






「ちょうど見頃だね!」


「あぁ、綺麗だな。この辺でいい?」


「うん!」





河川敷の滑り台のある公園で、私達は今日お花見をしに来ていた。



レジャーシートを敷き、風で飛ばされないようにと持ってきた荷物を素早く置いて






「良い天気だし人も少ないし最高だ~」





敷いたそこにゴロンと寝っ転がる。


あ~ 気持ちいいっ。





「こう見ると空がピンクに見える」


「なに?」






隣で何やら作業をする蒼空さんが振り向いた。






「え?」


「名前、呼ばなかった?」


「呼んでないよ?空がピンクに見えるって言ったの」





私が指差す先は、上。



" 空 "を指差す。






「あー……そう。」


「もしかして、呼ばれたと思っちゃった?」






クスクスと笑いながら起き上がる。






「…うっせぇ」


「蒼空さん頬赤いよ~」


「………………」






可愛い。ちょっと照れてる。



その姿をもう少し眺めたくて、






「そら」






そう言えば、ピクリと反応。







「今のは、蒼空さんのことだよ」


「…………………」


「今日は呼び捨てで呼んじゃおっかな~?」






なんだか意地悪したくなる。



ニヤニヤと笑いながら蒼空さんの顔を眺めた。





頬を薄らと赤く染める彼。


逸らされていた目が合うと、








「…………月姫」





低い声で、
とても愛おしそうに名前を呼ばれては







「あっ……」






私は簡単に顔を赤くさせる。






私に向かって伸びてきた手。


愛おしそうに私を見るその切れ長の目。





自然と目を閉じれば────






「花びらついてる」


「え。」


「なに、期待外れだった?」


「っーー!!!
し、てないし!!期待なんか!!!」


「あっそう。まあ外ではさすがにできねーなあ」





「見られるだろうし。」そういうけど、蒼空さん記憶ないの?外でされた経験結構あるんですけど。





「……バカ。」





………ああ、でも、


やっぱり

蒼空さんには勝てないや。

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