堕ちて、堕ちて、地獄まで。

ここから

その日は、ありふれた言葉で言えば、バケツをひっくり返したように雨が降っていた。

「ただい…」

少し髪が濡れてしまっていたから、すぐにお風呂に入る予定だった。

けれど、お母さんはそれを許可してはくれなかった。

「まずここに座んなさい」

良くないしるしだ。私は黙ったまま席に着く。重苦しい雰囲気が辺りに漂う。

「なんなの、この成績は」

お母さんがびしっと紙を指した。そこには私の成績が記されている。

私はそれを見て、ぐっと息を詰まらせる。3ばっかり、4が少し。

良くは、ない。

むしろ、悪い。

「何なの、お母さんはあんたをこんな子に育てたつもりはないんだけど」

「…」

私は黙って俯く。成績のことについて言われるのは、これが初めてではなかった。

「あんたはいつもそう。次は頑張る次は頑張る、そう言っても全く伸びないじゃない。努力もしていないくせに、そういうことを軽々しく言わないで」

「お母さん、私は…」

「口答えしない！さっさと勉強しなさい！」

いつもは、私は黙っているだけだった。けれど、今回は違った。

「お母さん、まずは私の点数の伸びを見てみてよ…」

バシン！

お母さんに頬を叩かれたのだと、数秒後に分かった。頬がジンジン傷む。