月夜に笑った悪魔 ハロウィン特別編
「なにヤラシーこと考えてんだよ」
襖を閉めたまま立ちどまっていると、後ろから聞こえてくる声。
その声に心臓が大きく飛び跳ねた。
「べ、べ、べつに、なにもやらしいことなんて考えてないからっ!!」
くるりと後ろを向けば、目に入ったのは起き上がった暁の姿。
「残念、時間切れ」
彼は腕を縛っていたネクタイを解いて、私と目が合うとそう返した。
……時間制限なんてあったのか。
暁がいつまでもおとなしくしてくれるとは思わなかったけど。
「美鈴、こっち来いよ。似合ってんだからよく見せて」
手招きで呼ばれる私。
似合ってるって、さらっと言われた。
……よかった。
ちゃんと、似合ってるんだ。