ときめき、デイドリーム




「こんなところに推しのご家族様がいらっしゃったとは気付かず大変申し訳ございませんでした本当にどうやって非礼をお詫びすればいいか……やっぱりいちばん誠意が伝わるのは切腹ですかね?」

「……………エッ??」

「生憎いま自分の腹を切れる道具を持ち合わせてないものでとりあえずいまは地に平伏すことでお許し願えればと思っておりま、」

「いやまってまってまって」



一旦土下座でもしようと廊下に正座しかけたんだけど、それをなぜか朝水くん……いや、朝水那吏様に止められてしまった。



「そんなことしなくていいから。……ただ、このことは秘密にしておいてもらえるとたすかる」

「推しのご家族が隠したがっていることを不用意に口に出すほど愚かなファンはしていないつもりなのですが」

「……あ、ああ、そう」



なんか、若干朝水那吏様が逃げ腰な気がするんだけど、これは気のせいかな?


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