すずの短文集
さらば俺の愛機よ
長い戦いは終わる。

俺はこの愛機である巨大ロボを駆り、この星を脅かし続けた数々の強大な敵を相手に、一人戦い続けたのだ。

そして司令塔であった、人々の想いを顧みることの無くなった人工知能を遂に破壊することに成功した。
敵を生み出し続けたその知能が暴走することはもう無いだろう。

世界を救った俺は、人知れず愛機を地底深くに眠らせることにした。


思えば亡くなった俺の叔父である博士が、この星の破壊を命令された巨大機械たちの襲来を発見したところから始まったのだ。

この俺の愛機を組み立て、テストを行うことが決まったその直後、俺の居合わせたその前で叔父は殺された。

俺は怒りの限りで、テストもせず、ろくに訓練もしないその状態でコイツに乗り込み、決死の覚悟で戦って…

訓練も戦いも投げ出しそうになったこともある。
パイロットスーツを脱ぎ捨て、空に向かって叫んだことも。

でもコイツは…愛機は俺をいつも導いてくれた。
奇跡の成功や挫折だけじゃない。生き続ける決心や守る幸せ、笑顔が見られる喜び…

そうして数年が経ち、遂に戦いは終わった。


「ありがとう…」

忘れ去られた廃基地に佇む俺と、面を向かわせたコイツ。

「ありがとう、俺の……」

俺の愛機…

俺はゆっくりと廃基地を出ていく。

眠れ…

俺はもう一度だけ、ゆっくりと振り返る。

どうか愛機を永遠に眠らせて…
願わくば、二度とこんな戦いが起きない事を…
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