想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
次々に涙が溢れる。

こんなにも自然と涙が流れたのははじめてだ。

「あなたは愛情深い人ですね。それを言葉にするのが苦手なようですが。ちゃんと温かく大きい愛を持ってる。彼もそれを知っているから、深く温かく大きな愛で、あなたを支えようとしているのでしょうね。どんなあなたでも。どんなあなたの言葉でも。」

次々にあふれる涙がぽたぽたと落ちる。

「余計な話をしてしまいました。次回の予約を入れてから戻ってくださいね。あなたと話ができてよかったです。お大事になさってください。」

磯貝医師はそう言って看護師に廊下にいる宏貴に診察室に入るように言った。

「恵理」
診察室のソファで泣いている恵理を見て、宏貴がすぐに近づく。
肩を抱きよせる。

恵理は、そんな宏貴の顔をじっと見つめる。

まっすぐに見つめ返してくれる宏貴。

「大丈夫。」
磯貝医師はそう言って、宏貴に恵理を待合室に連れて行ってあげてほしいと頼んだ。
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