想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「やっぱり今時専業主婦なんて甘えすぎかな。」
「そうじゃなくて。どうしてやめようって考えたんだ?」
正直、恵理の収入がなくてもそんなに贅沢しなければ十分生活していけるだけの給料はもらっている宏貴。恵理に仕事から離れることを提案しようとしていたくらいだ。
「いろいろ考えたの。今の私は、自分の体も心も全然コントロールできてない。」
「誰だってそうだろ?」
「昨夜、すっごく幸せ感じちゃったの。隣に宏貴がいてくれることで、私すっごい幸せ。」
「それはうれしいけど。」
「今までは仕事で認められると自分自身を認められたようでうれしくて、もっともっとって思ってた。どんどん欲張りになるくらい。でも、その欲が自分の首を絞めてるって、気づいてた。」
恵理は宏貴の手を握る。

恵理の手が冷たくて、緊張していることが分かった宏貴はすぐに自分の両手で恵理の手を包みなおした。
「だから、仕事をやめてちゃんと体と心を直したい。それで・・・」
「・・・」
言葉に詰まった恵理が再び話ができるのを、宏貴は何言わずに待つ。
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