タングルド
「美幸、離婚するんだって」

あまり聞きたく無い名前だ、離れた席にいる敦の箸を持つ手が止まる。

「え?どうして?なんかすごい騒ぎだったよね?」

「略奪ね」

「彼女、人のモノが欲しくて仕方のない子だったから、ねぇ浜田?」
ようこはわざと敦に話を振った。

数人がその言葉を聞いてクスクスと笑う。

なんだか、気分が悪い。

「雪の事があったから言わなかったんだけど、美幸って浜田を寝取る前はわたしの彼を取ったのよね」

「「「「えええええ」」」

その言葉にはこの場の人間が驚いてしまった。
私の事は結構周りに知られて、しばらくは屈辱的な思いをしたが、敦の前はようこの彼だと初めて知った。

「旦那さんお金持ちで玉の輿だと豪語してなかった?」

「浮気をする旦那は結局浮気をするってことじゃない」

「美幸も同じか、どうなの浜田?」

ようこは尚も敦を追い詰める様だった。
私は、別に敦に制裁を加えたいなんて思わない、実際今というか、あの時から敦に気持ちなんて無くなっていているから。

さっきまでの楽しかった雰囲気が不穏な空気になり居心地の悪いものになっていく。
そんな時にブブブッと通知が届いた。

LINEを開くと
『何時まで?迎えにきたけど』

え?羽田まで車で行っていたのかしら、それとも一度部屋に帰った?

『今どこにいるの?』

『お店の近くの公園で待機中』

美幸の話の敦の話も聞きたくなかったから渡に船だった。

『もう帰る』

『了解、店の前に行くから』

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