タングルド
「母さんのことを始めてお姉ちゃん以外の人に話したの、その人はお姉ちゃんのように何も言わずにずっと話を聞いてくれて、ただ隣に居てくれたの」

「その人のことが好きなのね」

話をする花の表情が柔らかくて幸せそうで、どれほどその人が好きなのかよくわかる。
今まで、誰かを好きになることに嫌悪感を持っていた。
そんな花がこんな風に誰かを思いながら穏やかに話をするのを見てホッとした。

「うん、好き・・・だと思う」

「思う?」

「好きな気持ちってどんなものかよくわからないから」

「でもその人を思い出すと、ふわふわとした気持ちになる?」

「なる」

「それは恋ね」

「やっぱり」

二人で顔を見合わせて笑う。

「どこで知り合ったのか聞いてもいい?」

「お姉ちゃんの結婚式」

「へぇー」
ってことはISLANDの社員?
誰だろ?

「披露宴の時に話をして、凄く楽しかったらそれから何度か会って、告白されたの」

花の乙女モードは初めて見た。
我が妹ながら、めちゃくちゃかわいい。

「ISLANDの人?私が知ってる人かしら?」

「うん、お姉ちゃんは知ってる」

「誰だろ、秘書課の人??」

「うううん、その・・・住販の方」

「ISLAND住販って、橘社長じゃないよね?」

「そんなわけないでしょ」
花は私の腕をポカポカと叩く。

「ふふふ、降参。一体誰?」

花は落ち着きなく指をいじりながら、ぽそりとつぶやいた。




「大島 新二さん」

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