タングルド
敬子さんは看護師で医薬品メーカーの配達をしている父とは敬子さんが勤めている病院で知り合ったそうだ。
何度か話をしているうちに昼食を誘い、夕食を誘えるようになって交際を申し込んだらしい。

何だか父の青春話を聞いているようで私の方が照れてしまうが、今の二人が幸せそうでよかった。

敬子さんには子供がおらず、10年前に旦那さんが脳梗塞で倒れあっけなく鬼籍に入ってしまい、しばらくは放心状態だったそうだ。
そんな風に唐突に別れが来たら、私は耐えられるだろうか?





ピンポーン

宅配かセールスくらいしか来ることのない状況で父の表情からすると宅配とは思えない。
ということはセールスだろうから私が出てビッシとお断りしようと立ち上がる。

「私が出るからいいよ」

「それなら、よろしく」と、皆んながまた和気藹々とテーブルを囲んでいる。

廊下に出てテレビモニターを確認すると、そこには思いもしない人が立っていた。















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