二人で見た青い空
本心じゃない。焦ってたのもある。
でも俺は訂正しなかった。いつ別れを切り出されたっておかしくない、どうせ俺といたってアキノは楽しくないだろう、と思ったから。

俺と二人になったって、アキノの笑顔なんか見れないんだから…

「…シンくんの笑った顔、見たかったのに…欲なんか、出さなきゃよかった…」

空を見つめたままのアキノは、消え入るような声で言った。

「俺…の…」

笑った顔なんか、見せたことあったか…?俺、アキノと付き合ってからだって、一度も…

「なんでもいいよ、って…言ってれば…シンくんが好きなこと…してくれて…笑ってくれると思ってた…でも……」

アキノは俺を見つめた。泣きそうなの我慢してるのが俺にもわかった。

「迷惑、だったよね…私といて、つまんなかったでしょ…ごめんね…」

「…。」

俺は何も言えなかった。

アキノはとっさに後ろを向いて俺にばれないように涙を拭いて、俺に向き直って、

「…帰ろっか。」

そう言って、いつものように困ったように少し笑った。


帰り道の電車はいつも通り、二人とも黙ったままだった。でもいつもより気まずくて、顔も見れないから下を向いてるしかなかった。

「…ねえ、シンくん…」

途中まで送るいつもの帰り道、アキノはまた突然話しかけてきた。

「前にさ、シンくん、空が好きだって言ってたよね…?」

俺、言ったかな…?

「私ね、今日はシンくんと空が見たかったんだ…。」

いつ、言った…?

「きれいな青い空を見て、私といても笑わないシンくんが笑ってくれたら良いな、って…」

思い出さなきゃ…いけない…

「でも、失敗しちゃったね…私…ダメだったんだね…。」

アキノは泣きそうになりながら、また困ったように笑ってる。

「私が…鳥だったらな…青空と一緒に私を見て、シンくんが笑ってくれたかもしれないのに…。な~んて…」

あ……
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