Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!



「真緒!!!ダメって言」

『見たいです!!!! 是非ゼヒ!!!! 森村先生、お願いします~!!!』


岡崎関連2大パワーワードは絶対に逃がせません
岡崎先生がいくらあたしを止めようとも、彼と仲良しの森村先生がそう言うんだから間違いない!!!!


「よし、そうと決まれば善は急げだ。マオちゃんの言うことはちゃんと聞け、岡崎クン。」

「・・・マジですか?! 俺、今から、真緒とスプリント作って、夕飯食べに出かけるんですけど。ホント、勘弁。」


ガックリと項垂れ、本当に嫌そうな岡崎先生。
しまった、森村先生の誘いを受けちゃダメだったんだ・・と後悔し始めたその時だった。


「・・・予約したんですね。もう。」

「そう、大至急で。俺の御用達のとこだから予約とれた。それとね・・・」


森村先生は岡崎先生の耳元でにやりと笑みを浮かべながら何か耳打ちをしている。

それから数秒後、明らかに目つきが変わった岡崎先生。


「・・・それまでにオペ(手術)終了、約束ですよ。」

「ああ。任せとけ。」


森村先生にそそのかされる格好になった岡崎先生は、困った顔をしながらあたしを手招きした。


「真緒、ゴメン。手の外科の急患が入って・・・」

『えっ?急患ですか?あたし、先に帰ったほうが・・・』


また項垂れてしまった岡崎先生。
急患というワードにも驚いたあたしは座っていた椅子からすっくと立ち上がった。
けれども、そのあたしの目の前には、大きく手を横に広げた白衣姿の森村先生が立ち憚る。


「マオちゃんも参加するの!」

『はっ?あたしが・・ですか?』

「手術見学室から見ていてね。彼氏のカッコいいところを!!!」

『え~!!!岡崎先生も手術、参加するんですか?!』


あたしの手術見学室での見学も驚いたけれど
それ以上に岡崎先生が手術室へ入室することのほうが驚く

だって病院に配属されている作業療法士は作業療法室やリハビリテーション部、もしくは病棟で従事するのが一般的
手術室で働くなんて、何するんだろう?



「そうそう。屈筋腱縫合したら、オペ(手術)室内で岡崎クンにスプリント作ってもらっちゃう。明日、日曜日で今日それを逃すと月曜日まで待たなきゃいけなくなるから。」

「自分がギブスシーネ作るのが面倒くさいだけでしょ?」

森村先生がこの部屋に現れた時点でなんとなくこうなることを予想していた様子の岡崎先生。
彼は森村先生からの指示依頼の内容を予想していたのか、指示を出されても驚いた様子は一切見せず、その代わりなのか明らかに大きな溜息をついた。

「そう・・・いや、そうじゃない。マオちゃんに岡崎クンの勇姿を見てもらいたいわけよ。マオちゃんの実習中、この病院でマオちゃんは岡崎クンに散々泣かされてきたんだから・・・いい想い出、作ってやれよ。」

「・・・森村先生。ちゃんと指示処方を忘れずに出して下さいね。」

「わかった。予約もちゃんとしてあるから安心しろ。」

「へいへい。」


医師と作業療法士
作業療法士は医師の処方・指示を受けて従事している職種
だからどうしても主従関係があるはずなんだけど
このふたりは主従関係というよりも兄弟みたいな関係に見える
それは、お互いに信頼し合っているからなんだろう


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