Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!
【Last next step study:紙飛行機が運んで来た未来】

【Last next step study:紙飛行機が運んで来た未来】


500人定員と書かれていた会場なのに、既に満席。
それどころか立見でも場所の取り合い状態。
会場入りするか迷っていたあたし達は完全に出遅れていて。

「真緒、こっち!!!!」

絵里奈が見つけた立見の場所は会場の真ん中の通路。
演者台に立っている岡崎先生がよく見える場所だ。


まだ彼の発表は始まっておらず、演者紹介のアナウンスが流れている。
そのアナウンスが終わり、岡崎先生が一礼をした。

「過分なご紹介を頂きありがとうございます。まずは定刻より遅れてしまったことをお詫び申し上げます。」


いつもはTシャツやスウェットパーカーにビンテージデニム、足元はコンバースの彼が、今日は紺色のストライプ柄のネクタイを締めたスーツ姿。
手首にはいつものG-shockではなくチタン製の腕時計が、足元にはつま先がややシャープな革靴。
おまけに短めにカットした髪は整髪剤で軽く逆立てており、肩幅が広くがっちりしている彼にはとても似合う髪型。

そんな彼が会場のほうをじっと見つめてから丁寧にお辞儀をしている。
TVを見ているかのように、彼が華やかな別世界にいる人に見えてしまう。


「先生に謝意を申し上げます。・・・・さて、今回は腕神経叢損傷患者に対する腱移行術に関する評価方法について新たに検討、立案、試行を行い、その結果が得られたので、それに基づいた考察を報告します。」

いけない、別世界にいるような彼に見入っていて、聞き逃したところがあった
どうやら腕神経叢損傷患者の腱移行術に関するお話らしい・・・

確か、あたしの評価実習の時の担当症例だった長谷川さんも行った手術だっけ?
この内容なら手の外科の知識が実習生レベルのままのあたしでもわかるかもしれない
だから、松浦先生がこの発表をあたしに聴いたほうがいいって勧めて下さったのかな


< 215 / 226 >

この作品をシェア

pagetop