パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 彼はふっと表情を緩めると、橋の欄干に手をかけ、池を見下ろした。

 色とりどりの鯉が、水面近くを滑るように泳いでいる。

「変わってるな。女性はだいたい目の色変えるぞ。私を前にすると」

 はっ! 
 なんて自信過剰。

 でも、そうとも言えないか。
 玉の輿の相手として、これほどの男はいない。

 一生ではとても使いきれないほどの財産があって。
 美しいけれど線の細さを感じさせない男性的な容姿と、鍛え抜かれた堂々とした体躯の持ち主で。

 本当に、三拍子、四拍子そろった、完璧イケメンだもんな。

「今日、ここに来るまではこんなバカげた話、一笑に付して終わらせるつもりだったんだが……」
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