パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 そんなわたしの様子を見て、ベルナルドさんはくすくす笑ってる。

「本当に、私の予想どおりの反応をしてくれるね、薫は」
「だって、サクレクール寺院ですよ。憧れのモンマルトルの」
「まだほんの入り口だ。市内に入ったら歴史的な建物だらけだぞ」
「わー、そうですよね。どうしよう。興奮しすぎて倒れるかも」

 高速道路を降り、車は市内へ。
 通りの脇にはさっきまでの近代的なビルとは違う、歴史を感じさせる石造りの建物が並んでいた。

 街路樹はマロニエ。
 左手には凱旋門の威容。

 そして……
 セーヌ河の向こうに見えるのは
 もう数えきれないほど、夢のなかに登場した、パリの象徴、わたしの憧れの源泉、エッフェル塔!
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