初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~

日曜日の正午前。待ち合わせ場所として有名な、新宿駅東口の大型ビジョンがある商業施設の入口で彼が来るのを待つ。

一昨日の夜、メッセージを交わして二時間が経った午後十時三十分、彼から連絡が入り、日曜日に会う約束を交わしたのだ。

梅雨入りした東京の空には、どんよりした雲が広がっている。

ソワソワした気持ちで今にも雨が降り出しそうな空から視線を戻すと、横断歩道を渡ってこちらに向かって来る彼の姿が見えた。

「直君!」

逸る気持ちを抑え切れずに声をあげる。すると、私に気づいた彼がアスファルトを蹴り上げ走り出した。

「待ったか?」

「ううん。私もさっき来たばかり」

「そうか。それならよかった」

久しぶりに会えた喜びを分かち合うように微笑み合う。

「どこか行きたい場所あるか?」

お互いの家から電車の乗り換えをしなくて済む新宿で待ち合わせたものの、行き先はまだ決めていない。

彼と一緒に出かけられるのなら、どこでもいいというのが本音だけど、それだといつまで経ってもこの場から動けない。

「カフェに行きたい」

「カフェ?」

「うん。だって、お寿司をごちそうなったお礼をまだしていないでしょ?」
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