きみの青
「お兄ちゃんは早希さんを糾弾した」
「そ、それは」
「証拠を突き付けることによって逃げ場を断ったうえで早希さんを責めたんだよ」
「くっ」

 ユミちゃんのきつい言葉が僕を打ちのめす。でもそれが事実だから何も言い返せない。

「わたしは証拠不十分だと思う。不倫の現場を見たわけじゃないし、ただそれっぽい雰囲気で一緒の車に乗っていただけとも言えなくもない。でしょう?」
「だから僕は早希へ、本当はどうなのって聞いたんだよ」
「でも聞くまでもなく、どちらにしてもお兄ちゃんの気持ちは決まっていた」
「そうだ」
「だったらそう言ってあげたらよかったのに」
「うっ」

 そうだ。結局、僕は自分のことしか考えていなかったのだ。
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