一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
神崎さんは自分の携帯から総司の番号を探しだすと、その番号に電話をかける。

プルルルルルッ

『はい。立花です。』


「神崎だ。」


『社長ですか!?
今どこですか?現場から社長が来ないと連絡あったんですが』

「実は、ホテルに向かう途中で車のタイヤがパンクして近くの民家で電話を貸してもらってるんだ。
今から言う住所に修理を手配してくれ。
あと今日の視察は延期にしておいてほしいと連絡しといてくれないか?」


神崎さんの問いに私は自分の住所と電話番号を教えると、神崎さんはそれを電話相手に伝えた。


『承知しました。
至急手配しますけど
多分、今からですと、早くても明日になりますが…』


「あぁ、仕方ないな。明日でも構わない。」


神崎さんは仕方ないと言いながらも、声色は弾んでいた。
それから神崎さんは電話相手と
少し仕事の話をしてから電話を切った。


「電話貸して頂いてありがとうございます。
本当に助かりました。
あと修理に来るのが
今からだと早くて明日になってしまうんだ。
重ね重ね申し訳ないんだけど一晩ここに泊めてくれませんか?」


「えっ?」

突然の神崎さんの申し出に
私はすぐに返事ができないでいた。


私の様子を見て神崎さんは
少し困った顔をしてから
「俺はあそこのソファで寝ますから!」
そう言って部屋の隅にある
二人掛けの小さなソファを指さした。

「それに私は会社の代表を務めている身です。
ですので、指一本触れるつもりはないので安心してください。」

神崎さんが私相手に手を出すなんてそんな心配はしていないのだけれど、
私が答えを渋っているからそう思ったのだろう。

外を見るともう暗くなり始めている。
まだ春先で車で寝泊まりするには
流石に寒くてつらいだろう


悪い人ではなさそうだし
一晩くらいなら大丈夫だよね...



「せ、せまいところですが...良ければ...」


私の言葉に神崎さんの顔が一瞬で華やいだ。


「ありがとうございます!
失礼ですが、名前を伺ってもいいですか?」



「あっ!す、すみません!
杉崎カヨ子と申します...」


「カヨ子さんか...
一晩よろしくお願いします。」


神崎さんは優しく微笑むと頭を下げた。


「こ、こちらこそ...
よろしく...お願いします...」


男性に下の名前で呼ばれることに
慣れない私は
恥ずかしくて顔が熱くなる。
きっと赤面症の私の顔面真っ赤に違いない。




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