宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~


「凄いですねえ~。殻付きの牡蠣!」

田野上が珍しそうにクーラーボックスを見ている。

「俺は一人暮らしだから、何人か秘書課の連中で分けてくれ。」
「よろしいんですか?」

田野上は目をキラキラさせている。
30代後半になった陸から見れば、秘書の若さと食欲は羨ましい限りだ。


「そうだ。田野上は出身大学が○○だったな。」

「はい!」

「あそこの医学部に友達はいるか?」

「ええ、何人か高校時代からの友人がおります。」

「調べて欲しい医者がいるんだが…。」

「名前と年齢がわかりますか?」

「年は26かな? 名前は島谷歩(しまたにあゆむ)。海の島、山谷の谷、歩くと書く。」
「専門がわかりますか?」

「う~ん、そこまでは…。」

「もしお急ぎならすぐに調べます。
 あ、プライベートな案件を勤務時間内に行ってもよろしければ…。」

「すぐに頼もうか。」
「わかりました。」


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