キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
ぼとぼと家へ帰っていたときのこと、歩いたことのない路地を見つけ気まぐれに通ってみると、壁にツタが這い、暖かみのあるオレンジの明かりが漏れるレトロな窓が目を引いた。
看板に喫茶マリンと書いてある。
上を見ればすぐ近くに私たちが住んでるマンションが見える。
こんな近くに趣のある喫茶店があったんだと思いながら、興味を引かれて店内に入った。
『いらっしゃいませ~』と元気に挨拶をした三十代前後くらいの女性とカウンターで料理をしてる四十代くらいの男性。
店内は半数の席が埋まっていて人気なのがうかがえる。
カウンターに座るとお冷を持ってきた店員の女性の少し膨らんだお腹が目に入った。
妊娠、してるのかな?と思いつつ、コーヒーとチョコタルトを頼み店内を見回した。
マボガニーの落ち着いた色合いのテーブルや椅子に程よく配置された観葉植物に癒される。
程なくしてきたコーヒーもいい香りでチョコタルトも絶品だった。
店員さんはお腹が大きいのに元気に店内を歩き回り二階もあるようで何度も行き来していた。
でも、時々疲れたのかお腹を摩りながら息を吐いているのを見かけて心配になった。
料理をしている人以外店員さんはいないようで、お腹重いだろうし歩き回るの大変そうだ。
今も額に流れる汗を拭きつつ大きなため息をついていた。
料理を作っていた男性も気になったのか声を掛けた。
『おい、大丈夫か?』
『あ、ああ、大丈夫大丈夫。あっいらっしゃいませ~』
お客様が入ってきて女性の店員さんは休むことなく働いていて、私は声を掛けずにいられなかった。
『あの、お手伝い、しましょうか?』
『ええ?』
目を丸くする店員さんに私は苦笑いを零した。
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