キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
お兄ちゃんの話が出て私の表情が曇り、寛子さんを困らせてしまった。
私はお兄ちゃんとのことも寛子さんに話した。
実は昨日、意気揚々と家に帰るとお兄ちゃんも家にいて、私の嘘は速攻でバレてしまった。
『茉緒、お前昨日智成の家に泊っただろ? 智成の匂いがする。嘘ついたな』
『え!?』
確かに智成の家でお風呂を借りてあのいい匂いの高級シャンプーを使ってしまって私の髪はとってもいい匂いがする。お兄ちゃんがそれにいち早く気づいてしまってつい浮かれて忘れていた私はお兄ちゃんに睨まれ失敗したと肩を竦める。
『あれだけ泊りは駄目だと言っていたのに約束違反だ。暫く智成と逢うのは禁止だからな』
『なんでそんなにお兄ちゃんに干渉されなきゃならないの! もういい加減にしてよ!』
頑ななお兄ちゃんに私は我慢ならなくなって喧嘩になってしまった。
『あいつは、今大事な時期なんだ、茉緒に構ってる暇ないんだよ』
『私だって邪魔するつもりないわよ! どうしてお兄ちゃんは私たちのこと認めてくれないの?』
『心配してるからに決まってるだろ?』
『そんな心配いらない! 私たち結婚するんだから! もうお兄ちゃんの言うことなんて聞かない!』
『なんだって? 結婚!?』
ちょっと待て! とお兄ちゃんに呼び止められても私は聞かずに自分の部屋に引き籠ってしまった。
それ以来お兄ちゃんとは口をきいていない。
今思い出すと子供の癇癪みたいで恥ずかしい。
もっと冷静に私たちのこと認めてもらえるように話をすればよかったと後悔している。
それとどこかちぐはぐな会話だったような気がしたけど、なにがおかしいのか思いつかなかった。
あらまあ、と、心配してくれる寛子さんには少し時間を置いてから話し合った方がいいんじゃない?とアドバイスをもらった。
また喧嘩したくないし、ちゃんと私と智成のことお兄ちゃんに認めてほしいからそうしよう。

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