キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「な~んか、幸せそうな顔しちゃって~」
「えへへ、わかります?」
バイトに行くと今日も拓海くんと顔を出しに来た寛子さんに指摘されてわかりやすかったかと照れ笑い。
昨日から智成が泊りに来てることを話すとよかったねえと寛子さんも嬉しそうに言ってくれた。
(お兄ちゃん)の居ぬ間に逢瀬を重ねてるとお兄ちゃんにバレたら雷を落とされると思うけどやっぱり私は智成と離れたくない。
お兄ちゃんが帰ってきたら説得してせめて門限撤廃して逢えるようにしてもらおうと思ってる。
「茉緒ちゃんの彼氏ってさ、あの風間グループの御曹司だよね?」
「え? そうですけど、どうしたんですか時田さん」
難しい顔をする常連の時田さん。
前に智成がここまで迎えに来た時に時田さんと遭遇している。
宅建の資格の勉強中だったがこの間合格したと嬉しそうに報告してくれた。
「あの御曹司、どこかのご令嬢と婚約してるって噂だよ、茉緒ちゃん騙されてない?」
「ああ、それただの噂ですよ」
婚約してるのは私だしと照れつつ言うと時田さんは私の左手をちらりと見た。
婚約指輪を探してるのかなにもつけてない左手に訝し気な目をした。
私だって出来れば形のある物で婚約を実感したい思いもあるけど、指輪はまだ用意できてないと智成は言っていたし、仕事が忙しそうだから催促なんてするつもりもない。
< 189 / 252 >

この作品をシェア

pagetop