キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です

「当たり前でしょ! 全然電話でないんだから! それより大丈夫なのお兄ちゃん!」
『え? なにが?』
「マンション、火事に遭ったんでしょ? 怪我は? 今どこに住んでんのよ!」
『えっ! なんで知ってんの?』
「今マンション前! 私泊りに行くって言ったよね?」
『あっ! やっべえ、忘れてた』
お兄ちゃんの焦る声に脱力した。
なんで忘れるかな?
何度もこの日に泊まりに行くからって言ったのに!
その後、お兄ちゃんは火事には遭遇していないそうでピンピンしてることを聞いてほっとした。
そして今は仕事中だから終わり次第迎えにくるということで、時間をつぶして待っていろと言われた。
「はあ、電話しただけで疲れる」
お兄ちゃんはよくポジティブで明るいと言われるが、妹からしたらノー天気でちゃらんぽらん。
ノリで生きているような人で私にしたら信じられない人間だ。
それでもうまく立ち回り人生を謳歌してるのだから羨ましい。
でもまさか、火事に遭っていたとは。
このことは実家の両親は知らないはず。
でなかったら私がお兄ちゃんのところに行くと言ったら引き留めていたはずだから。
「もう、お兄ちゃんったら」
会ったらお説教だと勢い込んで時間を潰すために私は歩き出した。

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