キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
だがしかし……。
「なんだこれ、くっだらね」
映画は人気急上昇中の新人女優と超人気男性アイドルグループの一人というキャストで話題だったが、中身はたいして面白くもなく、主役ふたりも演技が下手で見ていられなかった。
そんな映画でも隣の茉緒は真剣に見ていて俺の文句にも黙っているほど集中してるみたいだ。
映画は佳境に入っていてこれはラブシーンになるなと眺めていると肩に重みがかかり、茉緒が寄りかかってきていた。
「え……茉緒?」
思わず胸が跳ねて焦る。
映画は予想通りラブシーンになっていてそこだけはいい雰囲気で忌々しい。
いきなり寄りかかってきて茉緒はなにがしたいんだ? まさか映画に感化されたのか?
俺は映画どころじゃなく茉緒をどうしようか考える。
「おい、茉緒どうした?」
肩をゆすってみると茉緒はますますこちらに寄りかかり頭がこてんと膝の上に落ちてきた。
「……ったく、なんだよ。寝てんじゃないか」
俺の膝を枕にすやすや寝ている茉緒に思わず突っ込んだ。
焦って損した。
寝てしまうなんて茉緒もこの映画が面白くなかったと見える。
ため息をついて映画を止めた。
こいつ、無自覚小悪魔かもしれない。
良くも悪くも俺の感情に揺さぶりをかけてくる。
顔に掛かる髪の毛を除けてやるとデコピンしてやりたくなった。
まあ、しないけど。
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