キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「そうか、頼んだぞ陸翔。それと、茉緒のことは任せておけ。俺が盛大に誕生日を祝ってやるから」
「えっ!?」
お兄ちゃんやっぱり伝えてたんだ、思いっきり気を遣わせちゃってるじゃない。余計なこと言わなくていいのに。
私が驚いてる間に智成は電話を切って私の隣にどさっと座る。
なんか不機嫌な顔してるからそれにビビッてつい腰を浮かして横にずれた。
「お前、兄貴と電話するときにあんな、甘い声出すなよ」
「え? 何のこと。あ、甘いって」
「恋人と話してるのかと思ったぞ」
「恋人っ!?」
なにを勘違いしてるの? それで智成は不機嫌なの? なんで?
智成って時々なに考えてるのかわからなくなる。
「恋人なんているわけないじゃない。それに、電話するときってよく声がワントーン上がるって言うでしょ? お兄ちゃんと普通に話してただけだよ」
「お前ら兄妹のくせに仲良すぎなんだよ」
「なに? 仲良くっちゃダメなの?」
ぼそっと呟いた言葉はしっかり聞こえた。
兄妹仲いいのはいいことじゃないの。なにがダメなの? 
ムッとして言い返すと智成はバツの悪そうな顔して髪の毛をぐしゃぐしゃとかき乱した。
「いや、悪い。俺が最初に言おうと思ってたのに先越されてイラっとしただけだ。大人げなかった、ごめん」
神妙な面持ちで謝ってきて肩透かしを喰った。
やっぱり智成って何考えてるのかわかんない。

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