キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「あ、茉緒、キャリーケース開けて」
「うん」
言われた通りキャリーケースを開けると、荷物のほかにプレゼント包装された箱がいくつか出てきた。
「それ、全部茉緒のだからな」
「え? うそっ! これ全部お土産?」
「そ、遅ればせながら誕生日おめでとう茉緒」
「うふふっ、電話でもう聞いたのに、ありがと。わーいなんだろう。開けていい?」
「ん」
ウキウキしながら大きいのから小さいのまで三つある箱を順番に開けていく。
一番小さいのは綺麗な瓶に入った香水。とっても好きな香りだ。
次は高級そうなチョコレート。お土産の定番だね。
そして、大きい箱はブランドバッグ。
「わっ、これほしいと思ってたやつ! うれしい! ありがとうお兄ちゃん」
「前にテレビ見てほしいって言ってただろ? ちょうど同じの売ってたんだよ」
「高かったんじゃない?」
「なに、兄ちゃんこれでも稼ぎはいいから、大丈夫だ」
にかっと笑うお兄ちゃんに吹き出してしまった。
「交渉術のプロだし? ニューヨークでは大活躍だったみたいだね?」
「おう! 俺に掛かればどんな難敵もイチコロよ! って、言っても、最終的にはフリだったみたいだけど」
「なんか、試されてたとか言ってたね」
「ああ、なんとなくそう感じてはいたけど、そこでこちらが折れて悪条件とか追加されないようには気を付けてたけどさ」
頭の後ろで手を組んだお兄ちゃんは不貞腐れたような顔してソファーに背を預けた。
「智成が言ってたよ、お兄ちゃんのおかげで不利な契約にならずに済んだって。智成は最初からお兄ちゃんのことあいつなら大丈夫だって言ってたんだから。信頼されてるね、お兄ちゃん。私妹として誇らしいよ」

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