ハニー、俺の隣に戻っておいで
「本当にね。 でなければ、親友をあんな目に遭わせるなんて出来ないさ。こんなのが友達だなんて、イザベラが可哀想だよ」

「イザベラがニーナと友達になっちゃったのは運が悪かったわ。 引っ叩かれた挙句、家族まで巻き込まれているじゃないの」

「酷い話さ。 前はイザベラこそ鬱陶しい奴だと思っていたけど、今は本当に可哀想。まさか親友に裏切られて怪我するなんてね」などと話し合っているのだ。

ニーナは歩調を緩めて周りの囁きにじっと耳を傾けたが、 噂がどこから来たのかわからず当惑していた。

結局、足らない情報を補ってくれたのはミシェルだった。

ミシェルはニーナのことを深く心配し、「ニーニ、イザベラをこっぴどく叩きのめすなら、次は人に見つからない場所でやってくれない? 誰かに見られたから、あんな悪口言ってるのよ」と忠告する。

ニーナはそこで不意に、キャンパスでイザベラを引っ叩いたのを目撃したクラスメートがいたのだということに気づかされた。

けれども、そんなことはどうでも良かった。 イザベラの家族が巻き込まれたって言っていたが一体どう言うことだ?何が起きているのだろう?

「イザベラの家族に何があったか知ってる?」 ニーナが混乱気味にミシェルを見つめると、彼女は眉をひそめ額に皺を作った。

そして驚いて、信じられないとでもいうように「えっ? 本気で言ってる?本当に知らないの?あなた、あのひどい男に頼んで……あ、ひどい男じゃないわね」

その時までにはミシェルもすでにジェームズと和解していており、 ゲーム中の仮想の恋愛関係を断ち切っていた。それどころか、ジェームズは彼女のために伝説的プレーヤーを見つけ出し、ゲームで賞を獲得する手助けすらしてくれたのだった。
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