ハニー、俺の隣に戻っておいで
女子学生が皮肉を込めて「ニーナ、そんなにお高くとまった振りなんかやめたら? みんなあんたの売春のことを知ってるのよ。 無邪気な振りしても無駄よ」と言う。

「あんたには関係ないわ。 あれこれ言われる筋合いはないわ」

ニーナが彼女を一瞥して平然と言い返すと、彼女はすぐに黙った。

ニーナは周囲のいやらしい視線と悪口を無視しつつ、落ち着いた様子でノートパソコンをバッグから取り出す。

ウェブサイトを開くと、そこにはとんでもない書き込みが並んでいた。

「あのビッチ、純粋無垢な振りをしてるぜ」
書き込みは主にニーナを軽蔑していた女の子たちからだった。 彼女はずっと高嶺の花だったのだが、ついに引きずり下ろすチャンスがやってきたのだ。

男子学生が「一晩でたった10万円? 俺のとこに来いよ。 十万一千円やるから」と書き込む。

ニーナのことになると、みんな優しさなどかなぐり捨ててしまったようだ。 彼女を侮辱しながら、誰も良心の呵責など感じていない。

「こんにちは。私は情報学科の学生だけど、 投稿者のIPをチェックしてあげようか?」
その書き込みもとても人気だった。別に内容が良かったからではない。単にみんなその学生の悪口を言っていただけだ。

そのニックネームが「ミミミシェル」の書き込みを見て、ニーナはにっこり微笑み「ありがとう。 でも、投稿者のIPなんて簡単にわかるわ」

ニーナは細い指でノートパソコンのキーボードを素早く叩いた。 うっすら微笑みを浮かべて落ち着いた様子だ。

「確定」 一分もしないうちに匿名の投稿者のIPが表示され、学内にいることが明らかになった。

そして詳細がポップアップされる。

「イザベラ? イザベラが投稿したの!?」

ようやくニーナはすべてを理解した。

イザベラはわざと香水をかけてきたのだ。手近な男に処女を奪わせるために。

二枚の写真もイザベラが撮ったのだろうか?

ニーナはその事実を受け入れるのをためらい、慎重にチェックし直した。 けれども、携帯の機種など、証拠はすべてイザベラを指していた。

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