ミルフィーユ王子はキュン死しそう




雨がしとしと降る、夕方の公園で。



私の瞳に映るのは、

アメリ様と桃ちゃん。




屋根の下に置かれたベンチに


雨に濡れないようにと、

肩が触れそうなほど近くに座っている

二人だけれど



ここ5日間で

確実に近づいている二人の距離感に


幽霊の私は、

嫉妬という醜い感情に

押しつぶされそうになるばかり。





アメリ様が、
初めて桃ちゃんに会った日


桃ちゃんは

私が死んじゃったことを告げられ


この公園で泣き崩れてしまった。




「僕に話してくれないかな?
 桃ちゃんの悩み」



「私、うるちゃん以外には、
 自分のことを話したくないんです!」



心配そうに微笑むアメリ様を
突き放し、

桃ちゃんは走り去っていった。





その時の私は



――アメリ様、お願いします。



義理のお父さんに体を触られ、

抵抗すると殴られてしまう。



そんな桃ちゃんを

地獄から救い出してください!



心から必死に願っていたはずなのに……



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