迷いの森の仮面夫婦
「そうかなぁ?俺って普通だと思うけど」
きっと今でもどんな人混みの中にいたとしても、海鳳を一番に見つける自信がある。
忘れられない初恋から、深い愛情に変わる瞬間を体感してきた。
今は、どこにいてもどんな姿形をしていたとしても、私が海鳳を一番に見つけて見せる。 もう、王子様だったから好きなんじゃない。
いつの間にか早乙女 海鳳という一人の人間をこんなにも愛していたの…。
「でもあれは参ったけどね。 海鳳と凪咲さん昔はそっくりだったんだね」
今日見たアルバムの中、唯一海鳳と当てれなかった写真があった。
ドレスを着た凪咲さんとタキシードを着た海鳳だとばかり思ったのに、何とお母さんが悪戯で二人の衣装を交換した写真らしい。
二卵性の双子とはいえ、小さい頃は親も間違える程そっくりだった時期もあるらしい。
「昔はよく入れ替えっことかしてたんだよ。俺の身長が伸びるまでは洋服で判断してた節があるな」
「やっぱ双子で姉弟だもんね、似てないわけないもんね。
今だってよく見ると凪咲さん海鳳に目元とかそっくりだしね」
「そっくり…だったんだよなぁ…」