言いましたが、 違います‼︎
第2章

1



と、勧められ今に至るのだが

「ここはどこだぁ‼︎」

事前に調べたわよ。
超初心者の私でも登れるかどうか。
どんな服装で、どんな心構えで登ればいいか。

ちゃんと駅に降りた時、案内のパンフレットも貰った。
それは手に持っている。

駅を出た時も山頂に着いた時も人がいてついて行けばよかった。
地図なんて必要なく余裕だった。

頑張って登った山頂での景色も良かったし、
写真映えも良かった。それだけ。

余裕じゃん。

あとは時間もたっぷりあるし、せっかくだから歩いて降りよう。

そう思ったのが、間違えだったの?


さっきまでいた人も誰もいない。

イヤでも先日の社内での事を思い出す。

ついさっきまで一緒にいた子が、
私を羨望な眼差しで見ていた子が、
私を見る目。

私の周りには誰も寄ってこなくて、遠くで嘲笑う声。


「もぅ‼︎ホントになんなのよ‼︎
自分達だって、面白おかしく話を盛ってたくせに‼︎
確かに仕事を押し付けてたわよ‼︎
でも、ちゃんと誰にでも出来る状態にしてたんだから‼︎」

とりあえず目の前の道をドンドン進む。

「だって、仕方がないじゃない。
そうしないと帰れないんだもん。
悔しいなら、あのサイボーグ葉山が押し付けてくる仕事をこなしてみなさいって言うの‼︎
尋常じゃないんだから‼︎」


一度口に出してしまうと止まらない。
でも、誰もいないから、まいっか。


「男子が手伝ってくれるのだって、私からお願いしたわけじゃないっつーの‼︎
私がちょっと可愛いからって僻まないでよね。何にも努力しないでキープしてるわけじゃないわよ‼︎
日頃の努力のたわものだっつーの‼︎」

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