政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「俺はいつでもこうやって、清華を縛っておきたいんだ」

私の背中から覆い被さり、零士さんがそっと指環をなぞる。

「……嫌、か?」

私の顔をのぞき込む瞳は、不安そうに揺れている。
それに小さく、首を横に振った。

「私は零士さんの妻なので、問題ありません」

「妻だから、……か」

彼から出た声は酷く淋しそうで、胸の奥がツキンと小さく痛んだ。

「あの」

「今はそれでいい。
俺はいつか、清華が俺に深く溺れてくれると信じている」

なにか言わなきゃと開いた口は、彼の長い人差し指によって阻まれた。

「だから今は、俺を拒まないでいてくれるだけで十分だ」

頬にちゅっと口付けし、零士さんが小さくふふっと笑う。

「冷えてきた。
そろそろ中に入ろう」

「はい」

彼に手を取られ、立ち上がる。
交代でお風呂に入り、もう寝ることにした。

「おやすみ」

「おやすみなさい」
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