冬の春

「すみませぇん」


とケータイを閉じて、大悟さんたちに愛想笑いする私。


「大丈夫ですか?」


大悟さんは心配そうな顔をしている。


「はい、大丈夫ですよ」

「そうですか……」


睦さんも同じ表情だった。


何? 
私、変なことした?


「もし帰るのでしたら、駅まで車で送りましょうか?」


大悟さんが私の顔をうかがうように言った。


「えっと、お願いできますか?」

「はい! いいですよ」


と笑顔になる大悟さん。

睦さんも微笑む。


二人とも変だ。

それとも、私が変なのかなぁ。


私が首を傾げている間に、大悟さんと睦さんは手早く片付け始めた。

息がぴったりな二人。

恋人同士なのかな?

でも、睦さんは可愛いから大悟さんには勿体無い……かな?

って、どーでもいいや。



「さあ、行きましょうか」


ぼーっと考えていた私に、大悟さんは声を掛けてきた。


「あ、はい。お願いします」


私は慌てて返事をした。




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