執事的な同居人
遭遇




(あっ、雑誌出てる…)




家に居ても落ち着かなくて、
気を紛らわせようと外に出た。



駅の近くにある本屋さんに入ると、今日発売の雑誌が棚に並んでいて、手に取る。


毎月買っている物だから、今月も買おうと思って。




『ありがとうございましたー!』




レジに行ってお金を払い、
袋に入れられた雑誌を受け取ると




「………………」




レジ近くに置かれた本が目につく。







その本の題名は


『恋愛心理学』


なんて、ちょっとポップな文字で書かれていて




(気になるあの人の気持ちが丸わかり…か、)




帯に書かれている文字を心の中で呟く。




これを読むと本当に気持ちが分かるの?




(そんなわけないじゃん。超能力がない限り無理だって)




信用できないその言葉に
疑いの目でジトーっと見つめるものの、




気づけば手に取っていた。





(でも、分かるなら……)





買ってしまおうか。




そう思った、直後





「石沢サンっ」


「ひゃっ!?」





耳元で声がして

唐突のことに変な声が出た。




「カイ………」


「やっほー」




いつものようにニコニコと笑顔を浮かべるコイツ。



……何でここに。

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