執事的な同居人







久々に出た外の世界。涼が経営しているホストクラブは他と違って少し高級感が漂う店内になっている。



そのため値段もそれなりに高く、来る人は大体が金持ちだ。





(…………いつの間に。)





ホスト達の写真がズラリと並ぶ壁に、なぜか俺の写真も掲げられていた。いつの間に撮ったのか分からないが、カメラ目線の俺。



………今にでも剥がしたいくらいだ。






「颯太さん、指名ですよ」





その写真を眉根を寄せて見ていた俺に雑用係の男が声をかけてきた。





「あちらの女性です。」





言われた先に目線を当てて、軽く息を吐く。





「分かった。」





頭が痛いのは今も変わらず。





(今は仕事中だ。顔には出すな、絶対に。)





自分自身にそう言い聞かせて、その顔に笑顔を作るのだ。





「ご指名ありがとうございます。」





指名してくれた女性に近づき、軽く頭を下げた。



俺の顔をジッと見つめるドレスコードの女性から「ふふっ」と軽い笑い声が聞こえたかと思えば、





「私のこと、覚えてない?」





俺の手を取り、軽く引っ張られた。



その反動で「隣失礼します。」と言う前にソファーへと座る俺。



近くなったその距離。「覚えてない?」そう言うものだから、ジッと彼女の顔を見つめ返す。






………ああ、この間の。






「もちろん覚えてますよ。







………麗華さん。」




「当たり~」






前髪をかき上げてふわりと嬉しそうに笑う、その女性の名前は麗華(レイカ)さん。





______前に俺が接客をした相手だ。

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