執事的な同居人




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同居解消だとしても、


すぐにここを出れるわけもなく





「石沢さん、少しお時間よろしいですか」





まずはあの家を紹介してくれた張本人である、紀恵さんのお父さんと話をしなければ。







「なんだなんだ?紀恵のことか~?」




少し楽しげな顔をする石沢さんとは違って





「はい。」



俺は冷静に






「あの家を出ようと思っています」






石沢さんの目をしっかり見てそう告げた。






「それは予想外の内容だな」






楽しげだった石沢さんも
その言葉には真剣な表情を浮かべる。






「理由は?」



聞かれると分かっていたそれ。



今ここで嘘をついたって

どうせ後でバレる気がする。





……いいや、嘘をついてはいけない。






「紀恵さんに手を出しました」






俺は石沢さんが思うような完璧な人間ではないと、この人に知ってもらわなければいけない。






「……なんだって?」






石沢さんの目がギッと細くなった。






「手を出した?」


「はい。」


「……紀恵は了承したのか?」


「………………」





答えずらい。




この間の俺は、恐怖で怯えた彼女に手を出そうとしたのだから、






「………いいえ」






了承はしていない。





途端



石沢さんは深い溜め息と共に頭を抱えた。






「お前は、そういう奴だったんだな」


「…………………」


「完璧だと思っていたが、それは大いに間違っていたみたいだ」










そうだよ。



石沢さんが思っているような












「俺は、完璧な人間ではありません」


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