あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
自分では気がつかなかったけど、いつも素直に気持ちを伝えてくれる結人くんが隣にいるから、それに影響されているのかもしれない。

私も少しずつ、素直になってるのかな。


「はい。録音するからさっきのセリフもう一回言って」

スマホを取り出して私に向けてきた。

「はぁ?なにしてんの澪。ほら、集中して試合見よ」

……澪の前でのろけるなんて、今さら恥ずかしくなってきた。


それにしても、ここにきて結人くんの新たな一面が見れたことは嬉しかったし、春休みのいい思い出になった。

春休みは部活が忙しかったけれど充実していた。

書道部では、新入生歓迎会で披露するパフォーマンスの練習をしていた。

人よりも大きな紙に大きな筆を使って文字を書く。

慣れないことはいつだって難しいけれど、胸が弾む感覚もある。

『部員がたくさん入ってくれるように』と願いを込めて、部員一同一生懸命練習していた。
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