アンドロイド・ニューワールド
私が転入したのは、『Neo Sanctus Floralia』の研究所から、約十キロほど離れた場所に位置する、私立高校。

名を、私立星屑学園と言うそうです。

星屑というと大変中二病チックで、いかにもキラキラしていそうな名前ですが。

屑という、人を貶すには持ってこいの言葉を、学園の名前に使うのは如何なものだろうと、私は思います。

ともあれ。

私は、今日からこの学園に入学することになります。

ちなみに、昨日局長が言っていた、私とは別に『人間交流プログラム』を受けている『新世界アンドロイド』が入学している学校とは、また別の高校だそうです。

二人が同じ学校に入学してしまったら、得られる実験データが乏しいと判断したのでしょう。

もう一人が何処に入学しているのかは知りませんし、全く興味もありませんが。

私が入学するのは、この私立星屑学園に他なりません。

校舎は比較的ボロ、いえ、趣のある建物で、何となく歴史を感じました。

伝統のある学園ということなのでしょう。

この日私は、人生で初めて、学園の制服というものを身に着けました。

白いシャツに赤いリボン、そして赤いチェックのスカートという制服です。

これが、この学園の女子生徒が着る制服だそうです。

私はとても不服です。

まず白いシャツというのが受け付けません。

以前読んだ本で、白いシャツはカレーうどんなる食べ物と、大変相性が悪いと聞きました。

そもそも白という色は、何色にも染まっていないが為に、他の色に染まりやすい色です。

血、墨汁、カレーうどんのスープ、醤油、いかなる液体が付着しても、その部分がシミになってしまうという、非機能的な色です。

何故そのような色を、敢えて制服という、毎日着用する服の色に選んだのか、理解出来ません。

そして極めつけは、このスカートという服です。

何故わざわざ足を露出させるのか、全く理解出来ません。

しかも、全校生徒にスカートを着用しろと強要するなら、まだかろうじて理解可能ですが。

何故か女子生徒のみ、足を露出させることを強要しています。

男子生徒は、足首まですっぽりと覆うズボンを着用しているのです。

一方で女子生徒にのみ、足を露出させることを強要しているというのは、全く理解し難い行為です。

全く機能的ではありませんし、そして性的差別に繋がるのではないかと危惧しています。

それなのに、同時に渡された体操着なる衣類は、何故か女子生徒も男子生徒も共有の、ジャージパンツなのです。

普段はスカートを履くことを強要し、一部の授業でのみパンツを履くことを強要するとは、これまた私には理解不能です。

従って、私が最も理想とする制服は。

男女共通、黒いシャツに黒いジャージパンツ、そして黒い靴という制服です。

素晴らしい。とても機能的で、かつ汚れたとしても目立ちにくいスタイルです。

それなのに何故人間は、このような非機能的な格好をさせるのか…。

納得の行く理由があるのだろうかと思っていたら、校舎に入り、教員と対面したときに理解しました。
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