傾国の姫君
「心我。」

照葉さんの声に、身体がビクついた。

「ん?」

家の中にいた男が、私を疑っている。

急に、窓が開いた。

「……誰もいないか。」

「聞かれてもいい。恨みを持つ者を引き寄せてくれればな。」

どうしよう。

私が名乗り出てもいいのだろうか。


すると話していた男は、その家を出た。

私は慌てて、その男を追いかけようとした。

「ああ、心我。どこに行くの?」

「照葉さん。」

私がゴクンと、息を飲んだ。

「少しだけ、時間をくれ。」

「えっ?」

そして私は、その男についていく事にした。
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