傾国の姫君
「これが当たり前になれば、心我。おまえは立派な女になれるよ。」

「そうなればいいね。」

そう言って窓を見たのが、私の純粋な気持ちの終わりだった。


それからは、水酌みをして、舞を踊って、剣術を練習して、夜には類に抱かれる。

そんな毎日が、続いた。


そして、一年後。

「今年、秦王の妃を決める年がやってきた。」

類は一枚の紙きれを私に渡した。

「望む者は、中央の広場に集まる。毎回、大勢の女が集まる儀式だ。」

「へえ、知らなかった。」

「皆、金目当てだ。妃になれば、家族に手当金が出るからな。」

金の為か。

皆、考える事は一緒なんだね。

でも、私は違う。

何が何でも、秦王の妃になってやる。


「なあ、心我。秦王を殺した後の事なんだが。」

「ああ。」

「俺と一緒に、ここで暮らすと言うのは、どうだ?」

私は一瞬、類をじっと見た。

類は、真剣な瞳をしていた。

「……考えておくよ。」

そう言って私は、道場のある山を降りた。


いざ、秦王の元へ!
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