悪魔な太陽くんと餌の私
もしかして、太陽くんは弱っているのだろうか。
そのせいで、うまく精気の量が調節できなかった?
「とにかく依頼が入った以上、僕は行く」
ライアンさんはそう言って、部屋を出ていこうとする。
「待って!」
「止めても無駄だよ。これは僕の仕事だ。被害者が出ている以上、見過ごせない」
ライアンさんの決意は固いらしい。
だから、私は首を左右に振った。
「私も連れて行って下さい」
「駄目だ」
「どうして!」
「もし相手が君の思い人だったら、君は僕の邪魔をするだろう?」
その通りだ。だって、太陽くんが殺されるなんて絶対に嫌。
だけど、それを伝えてもライアンさんは止められない。
「もし、彼が犯人だったら、説得します」
「なにをどう説得するんだ。人の精気を食べずに死ねとでもいうの?」
ああ、だめだ。
太陽くんが夢魔である以上、どうしてもライアンさんの敵なのだ。
「人間に戻るつもりはないかって、聞きます。それでもし、戻りたいっていうなら……」
「君は反対していたんじゃないのかい? 失敗したら、彼は死ぬかもしれない」
「それでも、このままだったらライアンさんは彼を殺そうとするんでしょう?」
このまま、置いていかれるのは嫌だ。
私のあずかり知らないところで太陽くんが危険な目にあって、もしかしたら死ぬかもしれないのだ。
どんな理由をつけても、一緒に行きたい。
「僕の邪魔をするようなら、君にだって容赦はしない」
ライアンさんはため息を吐いてから、そういって私を睨みつけた。
それでも、置いていかれるよりはいい。