悪魔な太陽くんと餌の私
太陽くんは、昼食の材料を買いにスーパーへと出かけていった。
私はベッドから出られそうになかったので、そのまま眠った。
次に目を覚ますと、エプロン姿の太陽くんが、カウンターキッチンの奥でフライパンをガンガンふるっていた。
すごい、チャーハンが宙を舞っている……!
キッチンから漂ってくる良い匂いに釣られて、私はむくりと身体を起こした。
「おはよう。もうすぐ昼食ができるよ。お腹空いたでしょ?」
言われて、すごく空腹だったことに気がついた。
太陽くんは作った料理をお皿に盛りつけると、お盆に載せてベッドまで運んでくれる。
ダイニングテーブルで食べられるよって言ったんだけど、体力が落ちてるからまだ動かない方が良いと、病人のように扱われてしまった。
「はい、月乃ちゃん。あーん」
スプーンで口元に運ばれて、流石に戸惑う。
「じ、自分で食べられるよ?」
「うん。でも、俺が食べさせたいの」
スプーンを持ったまま、太陽くんが楽しそうにニコニコと笑う。
流石に恥ずかしい……と思ったけれど、太陽くんが楽しいならまぁいいかと、口を開く。
あむっと、口内にスプーンが差し入れられた。
チャーハンは丁度いい塩加減でとっても美味しい。
とっても美味しいのだけど、甘い。味ではないなにかが、甘い。