堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

27.出会ってしまいました

 アンディの足の上には女の頭がある。だが残念ながら愛するマリーの頭では無い。そのマリーは向かい側に座っている。だからそこにある女の頭は他の女。

「意外と、ちょろかったわね」
 深緑色のドレスを身に着けているマリー。今日もその豊満な胸と、細い太ももが露わになるようなドレス。この女とは正反対のマリー。

「当て身をくらわせただけで気絶とは、さすがお嬢様だな」
 騎士団の騎士服に身を包むアンディ。彼の足の上で眠っている女性は、エレオノーラと思われる女性だった。

「だが、マリーの言った通りだったな。第零騎士団を名乗れば、この女をすんなり手渡してくれるって」
 アンディはふっと、笑った。面白いほどにこちらの思い通りに事が運びすぎて、逆にいうと張り合いがない。あのジルベルトの間抜け顔を思い出す。

「でしょ?」
 足を組んで腕を組んでいるマリーのその姿は自信に溢れている。
「ところで、フランシア家の方は?」

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