堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「まあ、あれだ。最近、なぜか忙しくて屋敷の方には全然顔を出せていない」
 ジルベルトは言い訳をする。いや、言い訳ではなく事実なのだが。

「つまり、リガウン団長と妹はすでに別居婚である、と?」

「不本意ながらそういうことだ」
 ダニエルの言葉に、不本意ながらジルベルトが同意する。

 結局、結婚申請書を出したものの今まで変わらないんじゃないか、とダニエルは思った。変わったのはエレオノーラの気持ちくらいか? と。
 そう思って目の前の彼女に視線を向けると、幸せそうにジルベルトと笑い合っている。
 変わったのはエレオノーラだけでなく、この堅物もなんだろうなと思ったダニエルだった。


【第一部:完】
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