堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

15.任務完了です

 コツコツという足音が、二人に近づく。
「ところで」
 フレドリックが口を開いた。
「こっちの女はどうしたんだ?」

 フレドリックが言うこっちの女とは間違いなくエレオノーラのことなのだが。

 後ろの男二人は顔を見合わせ。
「フレディさんが以前レストランで会っていた女ですよ? この女もそうなんですよね?」
 どういう「そう」なのかは、この男三人が知る内容。

「この女。私は知らないな」
 フレドリックから「知らない」という言葉が出た時に、やはり後ろの男二人は顔を見合わせてしまった。それは自分たちの失態を誤魔化すかのようにも見える。

「だが」
 フレドリックは床に右ひざをつくと、エレオノーラの顔を覗き込むために、彼女の顎に手をかけた。
「上玉だな」
 ふっと、フレドリックの息がエレオノーラの鼻に触れた。

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